MIMIRが「経営者の頭の中」を再現する日。AIペルソナ構築テストで見えてきたこと——MIMIRシステム開発ブログ 第4回

この記事はMIMIR開発ブログの第4回です。今回は、MIMIRの中核機能のひとつ「AIペルソナ(人格)機能」にフォーカスし、実際のテストで見えてきた可能性と課題をリアルに記録します。
今日のトピック:「私らしさ」をAIに学習させられるか?
先日から、MIMIRの開発チームで少し変わったテストを実施しています。
テーマは私自身(LOFIR代表:経営者)の思考・提案スタイルをAIに再現させられるか?」というものです。
自分で言うのも妙な話ですが、これは冗談ではありません。私が日々クライアントに提供しているコンサルティングの判断ロジック、提案の組み立て方、言葉の選び方——そういった「私らしさ」をMIMIRに学習させ、私が不在でも岡田品質のアウトプットを出せるかどうかを検証したのです。
結論から言えば、「かなりのところまで来た。ただし、まだ足りない部分もある」という正直な評価です。
この記事は、その検証プロセスをありのままに記録した開発日記です。使い続けるほど私(ユーザー)らしくなっていく——そんな仕組みの現在地を、ぜひ最後まで読んでみてください。
そもそも「ペルソナ機能」って何?

MIMIRには「Aペルソナ(人格構築)機能」と呼ぶ機能があります。
平たく言えば、特定の人物の思考パターン・判断基準・言葉遣いをAIに覚えさせ、その人物として応答・提案できるようにする仕組みです。
よく「社長ボット」や「ゴーストライター機能」と表現することもあります。「社長が全ての会議に出席できなくても、社長なら何と言うかをAIが代弁してくれる」——いわば、脳のクローンを作るようなイメージです。初めて聞いた方でも、「自分の思考をそのままAIにコピーする機能」と捉えていただければわかりやすいかと思います。
なぜこれが経営者にとって価値があるのか。答えは明快です。
経営者の時間は有限です。しかし、経営者の判断ロジックや視点は、組織の至るところで求められます。提案書のレビュー、クライアントへの分析コメント、新規施策の優先順位づけ、情報発信——これらすべてに経営者本人が関与し続けることは物理的に不可能です。
AI人格複製機能が機能すれば、経営者の「知的資産」をAIに移植し、スケーラブルな形で組織に展開できます。これはMIMIRが目指す「第二の脳と無尽蔵の労働力」というビジョンの、最も直接的な実装例の一つです。
何をやったか:私のインプットをMIMIRに食べさせた

今回のテストでは、私に関連する以下の素材をMIMIRのナレッジベースに蓄積するところから始めました。
- 過去の議事録:クライアントとのミーティング記録(歯科医院、EC系、製造業、コンサル業など)
- 過去のアウトプット:制作した提案資料・コンテンツ・戦略ドキュメント
- 提案資料・戦略ドキュメント:クライアントへの提言内容
- デイリーノート:日々の思考メモ・音声・気づきの記録
これらをどう処理するか。技術的な詳細は省きますが、ワークフローの流れはざっくりこうなっています。
- Slack / Notion(素材の入口)
- n8n(自動収集・整形)
- Notionデータハブ(一元管理)
- Claude / Gemini(分析・構造化)
- MIMIRナレッジベース(参照・応答)
Notionを中央のデータハブとして使うことで、情報の蓄積と二次利用が格段にやりやすくなります。ここが今回の設計の肝でした。さらに、ナレッジベースに蓄積された情報やAIが生成したコンテンツに対して私がフィードバックを返すことで、AIが「私らしさ」をより精度高く抽出・反映していく設計にもなっています。単なる一方向の学習ではなく、使い続けるほどペルソナ精度が高まる仕組みです。
MIMIRのコアバリューとして私が常に語っているのは「生きているだけでナレッジが貯まる」という感覚です。日々の業務の中で自然に発生する発言・判断・記録が、そのままAIの学習素材になっていく——今回のテストはまさにその仕組みを自分自身で体験するプロセスでもありました。
なぜそうしたか:「経営者不在」でも経営者品質の提案を出したかった

このテストを実施した背景には、具体的なビジネス課題があります。
私はLOFIRの代表として、複数のクライアントに対して経営数値分析やWebマーケティング戦略の提案を行っています。たとえば、ある歯科医院のクライアントに対しては、チェア稼働率・1台あたり売上・新患率といった経営指標を分析し、それらをWebのアナリティクスデータ(サイト滞在時間・CVRなど)と掛け合わせ、デジタルと経営の両面から「どこにボトルネックがあるか」「次に打つべき手は何か」を提案しています。
あるいは、ニッチな製品カテゴリのカタログサイトを運営するクライアントに対しては、SEO構造の問題点を指摘し、コンテンツ改善の優先順位を提示しています。
こういった提案を私は毎回、ゼロから頭を使って組み立てています。しかしその判断ロジックは、実は相当程度パターン化されています。「この数値の動きが見えたら、次はここを確認する」「このクライアントの事業規模なら、まずここから手をつけるべき」——そういった判断の型が、私の中に蓄積されているのです。
この「判断の型」をAIに移植できれば、私が全案件に深く関与しなくても、私のアウトプットの品質に近い分析・提案をAIが生成できるはずです。
MIMIRの設計思想は「人間はクリエイティブな判断に集中し、定型作業はAIが担う」というものです。今回のテストは、その思想を自分自身の業務で実証しようという試みでした。
テスト結果:できたこと、まだ足りないこと

正直に記録します。
できたこと
経営数値の分析コメント生成が、予想以上の精度で動きました。過去の議事録に蓄積された私の分析コメントを参照することで、「私ならこう見る」に近いアウトプットが出てきました。たとえば、チェア稼働率が低いという数値を見せたとき、MIMIRは「まず診療時間帯の分布を確認すべき」「次に新患とリピーターの比率を見る」という順序で分析を展開しました。これは私が実際に行う思考の順序とほぼ一致していました。
文体・トーンの再現も、ある程度は機能しました。断言型の表現、ビジネスバリューで語る姿勢、専門用語を避けた平易な説明——こういった私の文体的特徴を、AIがある程度再現できるようになりました。
まだ足りないこと
クライアントの関係性文脈の欠落が課題として浮かびました。たとえば、あるクライアントとは「すでに信頼関係が深く、厳しめの指摘も受け入れてもらえる」という文脈があります。別のクライアントとは「まだ関係構築の途上で、提案は段階的に行うべき」という文脈があります。この「関係性の温度感」が抜けると、AIの提案は内容的には正しくても、タイミングやトーンがずれることがありました。
暗黙的な優先順位も難しい部分です。「このクライアントの今の最優先課題はAではなくBだ」という判断は、数値データだけでは導き出せません。クライアントの社内状況、担当者の性格、組織の変化への耐性——こういった非定量的な情報が、私の判断に大きく影響しています。この暗黙知をどう形式知化するかが、次の大きなテーマです。
学び:ペルソナはデータより「判断の文脈」で決まる

今回のテストで最も重要な気づきを一言で言えば、これです。
「発言ログを食べさせるだけでは、ペルソナは再現できない」
単に過去の発言を大量に学習させても、表面的な言葉遣いは真似できても、判断の本質は再現できませんでした。足りなかったのは「なぜその判断をしたか」「どんな優先順位で考えているか」という、判断の背景にある文脈と哲学です。
これはMIMIRの設計において、私が「フィロソフィーカード」「デイリーノート」「プロファイル自動抽出」という機能をなぜ重視してきたかの答えでもあります。
- フィロソフィーカード:「自分はどういう価値観で判断しているか」を構造化して記録する機能
- デイリーノート:日々の気づき・判断・文脈を自然な形で蓄積する機能
- プロファイル自動抽出:蓄積されたノートから思考パターンを自動で整理する機能
これらは単なる記録ツールではありません。「暗黙知を形式知に変換するための設計」です。今回のテストは、この設計思想が正しかったことを実体験として確認できた機会でもありました。
AI人格複製機能の精度を高めるためには、「何を言ったか」だけでなく「なぜそう言ったか」を記録し続ける必要があります。そしてその蓄積が、真の意味での「第二の脳」を生み出します。
次のステップ:「社長ボット」への道

デモに参加いただいたとある経営者の方が、特に強い関心を示してくれたのが「社長ボット」の構築です。「経営者の思考を整理・活用する仕組みをうちにも導入したい」というコメントをいただき、私自身もこの取り組みをより汎用的な形にまとめたいという意欲が高まりました。
今後のロードマップとして、以下を計画しています。
「判断の文脈」を効率よく記録できる構造化テンプレートの整備と精度向上。経営者が日常業務の中で自然に哲学・判断基準を蓄積できるテンプレート設計を目指します。
各クライアントとの関係性・温度感・過去の合意事項を構造化データとして管理し、ペルソナ応答時に参照できるようにします。
「私らしさ」がどの程度再現できているかを定量的に評価する仕組みを作ります。これがないと、改善の方向性が測れません。
自身の行動を振り返り、中長期の目標に向けて導いてくれる機能です。会議のファシリテーション支援・合意形成プロセスの評価といったシンプルなものから、「今やるべき事業に本当に集中できているか(余計な仕事をしていないか)」を問いかけてくれる機能まで射程は広い。何を優先して実装するか、現在検討中です。
「自分の会社でもこういう仕組みが欲しい」と感じた経営者の方がいれば、ぜひご連絡ください。MIMIRのAIペルソナ(人格構築)機能は、特定の業種・規模に縛られるものではありません。あなたの組織の「判断の型」をAIに移植する方法を、一緒に考えます。
おわりに:AIに自分を学ばせるということ

このテストは一度やって終わりではありません。私は今も毎日、開発しながらテストとインプットを続けています。その中で気づいたことがあります。
AIに自分の思考を学ばせるプロセスは、同時に自分自身を客観的に見つめ直す作業でもありました。「私はなぜあのとき、あの判断をしたのか」「自分が大切にしている判断基準は何か」——これらを言語化・構造化しようとする中で、自分自身の思考パターンが鮮明に見えてきました。
良い面も、課題も。自分の判断の癖や、無意識に持っていた偏りも。
AIに自分を学ばせるということは、単なる業務効率化の話ではありません。それは自分の知的資産を棚卸しし、組織に継承可能な形に変換する作業です。そしてその先に、経営者が本当にやりたいことに集中できる環境があります。
MIMIRのビジョンは「第二の脳と無尽蔵の労働力を手にした人々が、本当にやりたいことに集中できる世界」です。
このビジョンは、壮大な夢物語ではありません。今回のテストで、その入口に確かに立てたと私は感じています。
今のMIMIRは、まだ「私の7割」くらいです。でも毎日インプットを続けるたびに、確実に近づいています。いつか「私が休んでいても、MIMIRが私として動いている」——そんな日を目指して、開発の記録をこれからもリアルタイムでお届けします。
MIMIRのAI人格複製機能(ペルソナ)や「社長ボット」の詳細に興味がある方は、お気軽にLOFIRまでご連絡ください。あなたの会社でどう使えるか、一緒に考えます。






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