WordPressプラグイン「SureCart」でECサイト構築、WooCommerceの代替になるか?
SureCartはポストWooCommerceのECプラグインとして注目されている。
今風のシンプルなUI、軽量な動作、必要最低限の設定項目、テーマを選ばない動作と、WooCommerceの代替手段になり得るポテンシャルがある。
しかしSureCartは海外製のプラグインなので、日本国内のあれこれに対応していない。消費税や配送など、実際に設定しながら、運用で気になるポイントについて確認した。
結論としては、相当なカスタマイズ労力が必要な印象。現時点では、配送が不要なデジタルコンテンツであればアリかも。
SureCartの日本語対応は進んでいるか?
インストール後「始めましょう」の文字が…!これはもしかして日本語化が進んでいるかも、と期待。
と思ったら、英語表記だったり。
かと思えば、デフォルトの通貨にちゃんと「日本円(¥)」が選択できる。
ポチポチと進めていったら、なぜか「いくつかの検証エラーがありました」で最初の画面にエンドレスループ。仕方がないので、別途Surecartのサイトからアカウントを作成した上で「Connect Existing Store」のボタンから設定することで進めることができた。
ダッシュボードもちゃんと日本語で表示されるが、翻訳が用意されていない画面が多く、まだまだ日本語化は進んでいない状態だ。
また、注文画面のフォームや通知メール等、英語のままの箇所が多数見受けられた。別途修正が必要。
翻訳プラグイン「Loco Translate」で確認できる日本語の進捗状況は20%と、まだまだの状態であった。
消費税(Tax)の設定
SureCart>設定より「税金」の項目を確認する。残念ながら「日本」の消費税については用意されていないが、Fallback Tax Rateで設定(未設定の場合に一律で適用)するか、「その他の地域」からマニュアルで消費税の設定が可能。
地域「Japan」で税率は「10%」とした。
適格請求書事業者番号があれば税金IDの欄に入力しておくと、請求書PDFに表示できる。ただし、請求書テンプレート上では「税番号(ラベル名)」になっているので、修正が必要。
Customer Statements: Invoice/Receipt
{% if checkout.store_tax_identifier %}
<p>税番号 ({{ checkout.store_tax_identifier.label }}): {{ checkout.store_tax_identifier.number }}</p>
{% endif %}
{% if checkout.store_tax_identifier %}
<p>適格請求書事業者番号: {{ checkout.store_tax_identifier.number }}</p>
{% endif %}
送料の設定(Shipping)
送料の設定は、ほぼ日本語化されていない。
デフォルトで用意されている「General」を編集するか、「+Add New Profile」から送料の設定を行う。
「+Create Zone」から任意の名前(Zone Name)を入力、日本のみを対象とする場合はJapanを選択(Select Countries)。
次の2. Create Rateの画面では、Shipping Methodの選択で「+新しく追加する」を選択。
シンプルに全国一律送料の場合は、Flat Rateを選択。重量または注文金額での設定も可能。
配送先住所に連動する送料設定はないため、もし地域別送料を設定する場合はユーザーに選択させる形になる。その場合は誤った内容、例えば北海道にお住まいの方が本州の送料を選んだ場合にも決済できてしまう。
参考:全国一律の送料サービス
決済方法
Stripe/Paypal/mollie/paystackが選択できるが、カード決済ならStripe一択。
なおGoogle PayやApple PayなどのExpress Checkoutの機能を使う際は、Stripeの有効化が必要。
銀行振込などのオプションは無い
銀行振込による支払を受け付けたい場合は、手動支払い方法に「+新しく追加する」から設定する。特定のフォーマットが自動で用意されたりはしないので、注文完了時に振込先や入金後のフローについて通知する必要がある。
注文画面
注文の際の情報入力画面は、固定ページ>チェックアウトから編集できる。
ラベルやプレースホルダーは日本語に書き換えることができるが、住所表記が海外仕様で国⇒番地以下⇒市区町村⇒都道府県の順となっている。国名・都道府県の選択肢も英語(ローマ字)表記のままだし、郵便番号からの自動入力もない。
国名・都道府県についてはLoco Translate等の設定からは対応不可の模様。
並び順についてはflex orderで何とかならないか?と思ったが、SureCartはshadow DOMを用いているので、CSSによるカスタマイズもちょっと難易度高め。日本の商習慣にあわせた並びにできないかサポートに問い合わせところ、「変更できるように取り組んでいるが、今はまだオプションが無い」とのこと。
消費税や送料の計算にこの住所フィールドを参照するため、任意で追加可能なテキストフィールドに置き換える訳にも行かないし…と歯がゆい思いである。
なお、バージョン2.19.0の環境では、国名は/dist/components/surecart/p-ea19f1ec.js
に、都道府県名はdist/components/surecart/p-59916e56.js
から読み込んでいた。これらを直接修正することで、無理やり日本語対応はできなくもないが、バージョンアップやメンテナンスを考えると推奨される方法ではない。
また、請求先とは異なる住所へ配送するオプションは無いので、任意のテキストフィールドで実装する必要がある。任意のテキストフィールドで入力した内容は、注文のメタデータに格納される。
不思議なのは、請求書のPDFを発行する機能があり、そちらでは「請求」「発送」と氏名住所が左右に分かれて記載されていた。もしかしたら、設定を見落としているか、今後実装される予定なのかもしれない。
日本語環境ではWooCommerceに置き換わることはない(今はまだ)
現状は、サードパーティ製の追加アドオンプラグインが複数あるWooCommerceに軍配。
WooCommerceで用意されているような、日本語対応のための機能/プラグインが実装されるようになれば、WordpressでのECサイト構築の選択肢が増えそうだ。
SureCartのココが惜しい
- ほぼ日本語化されていないので自前での翻訳が必要
- 住所入力フィールドが海外仕様(加えて都道府県の入力がローマ字表記のプルダウン)
- 請求先と異なる住所への配送設定がない(にもかかわらず請求書PDFではなぜか項目が分かれている)
- 郵便番号で住所の自動入力がない
- 配送先住所(都道府県別・離島)に連動した送料の設定がない
全国一律の送料設定で、住所入力をユーザーに我慢してもらえるなら、SureCartは「使える」印象だ。
また、発送のないデジタルコンテンツであれば上記の問題に当てはまらないケースも多いのではないだろうか。有形の物販ではなく、デジタルコンテンツに限れば、一応は住所の入力が不要である。(後々の帳票発行などで必要になるかもしれないが)
SureCartは、WooCommerceに比べて実装の手間が圧倒的に少なく、1〜2日でネット販売を実装することができそうだと感じた。Stripeなら審査も早いので、すぐにクレジットカード決済を導入できる。
SureCart⇔(連携)SureTriggers⇒Googleスプレッドシートへの自動転記なども簡単に実装できるので、今後のアップデートに注目しておきたいプラグインだ。